web俳誌「俳句新空間」内の1コーナー・およそ日刊「俳句新空間」で不定期連載しておりました俳句鑑賞「人外句境」がこのたび終了しました。
以下に全回のリンクを張っておきます。
ご興味ありましたらご覧いただけるとうれしいです。
2014年12月からおよそ2年半の間、だいたい隔月で書いておりまして、途中から書くスタイルが少々変わってたり(最初は純粋に一句評をしていたのが一句評+αな感じに)しますが、基本的に「人でないもの」の登場していると思われる俳句の鑑賞文です。
1 たましひが人を着てゐる寒さかな/山田露結
2 ピストルをむけたら猫が近づいた/長嶋有
3 ロボットが電池を背負ふ夕月夜/西原天気
4 舞踏して投げてドリアン道の果/安井浩司
5 礼装が那由他の蝶をささめかす/筑紫磐井
6 木乃伊の手胸にとどかず雁渡る/大石雄鬼
7 靴べらの握りが冬の犬の顔/上田信治
8 蛍消えとなりの人とさはりあふ/佐藤文香
9 貝殻追放月は人照らしけり/田中裕明
10 雉は野へ猿は山へと別れゆき/辻征夫
11 絵本すずしピーターラビツトずるしずるし/辻桃子
12 雲呑は桜の空から来るのであらう/摂津幸彦
13 人魚恋し夜の雷聞きをれば/川上弘美
14 百物語つきて鏡に顔あまた/柿本多映
15 少女みな軍艦にされ姫始/関悦史
16 雪女ヘテロの国を凍らせて/松本てふこ
17 防湿のパンドラの匣百日紅/中山奈々
18 骨壺を抱いてゐさうな日傘かな/北大路翼
19 夏近し火星探査機自撮りせよ/飯田有子
20 白皙の給仕に桜憑きにけり/竹岡一郎
21 人形も腹話術師も春の風邪/和田誠
22 国の名は大白鳥と答えけり/対馬康子
23 草餅を邪神に供へ杵洗ふ/車谷長吉
24 回送電車軽々と行く秋の夜半/林望
25 春の簞笥の口あけている/岡田幸生
26 大凧の魂入るは絲切れてのち/髙橋睦郎
27 たましひも入りたさうな巣箱かな/藺草慶子
28 夕闇に冷蔵庫待つ帰宅かな/小川軽舟
29 チルチルもミチルも帰れクリスマス/竹久夢二
30 初夢に踊り狂へり火星人/高山れおな
31 とけし顔胴に沈みぬ雪達磨/岸本尚毅
32 風船になつてゐる間も目をつむり/鴇田智哉
33 箱庭にもがきし跡のありにけり/青山茂根
34 てのひらに蝌蚪狂はせてみたりけり/櫂未知子
35 行く春や踊り疲れし蜘蛛男/芥川竜之介
36 脛毛なきロボット登るかたつむり/佐怒賀正美
37 今晩は夜這いに来たよと蛸が優しい/御中虫
38 立ち上がるときの悲しき巨人かな/曾根毅
39 旅鶴や身におぼえなき姉がいて/寺山修司
40 月の人のひとりとならむ車椅子/角川源義
まとめ(あとがき)